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経営理念・業務運営の指針・中期事業計画

経営理念

安全で円滑な道路交通を目指して
~道路交通情報の収集・提供を通じ社会に貢献~

業務運営の指針

(1) 道路交通情報の正確かつ迅速な収集と提供

(2) 災害時における情報収集・提供の充実及び強化

(3) 道路交通情報に関連する事業の発展を推進

(4) 技術の発展動向を踏まえた調査研究の推進

(5) 職員のやりがい向上と健全な法人運営に資するコンプライアンスの徹底

中期事業計画(令和5年度~令和7年度)

1. JARTIC設立とその後の経緯

(1) JARTIC 設立の経緯

  昭和43年8月に発生した飛騨川バス転落事故を契機とし、また、モータリゼーションの急激な進展と広域道路交通網の発達、車両の大型化に伴う交通事故、交通渋滞の深刻化を受け、安全かつ快適な道路交通を確保するために、道路交通に関する各種情報の提供が強く望まれていた。
  このような情勢のもと、道路交通情報に関するサービスの向上を図り、道路交通の安全と円滑化に資するため、道路交通情報の収集及び提供に関する業務を一元的に行う組織として、公益財団法人日本道路交通情報センター(以下「JARTIC」という。)は、昭和45年1月に設立された。

(2) 現在までの経緯

  JARTICは、昭和45年の発足以来、道路利用者のニーズに応えるため、電話、ラジオ・テレビ放送及びインターネット等により、正確で、迅速な、分かりやすい道路交通情報の提供に努めてきた。
  また、情報通信技術の進展によって、携帯電話、スマートフォンなど高機能な情報通信機器が出現し、急激に普及したことに伴って、道路交通情報に対するニーズも高度化・多様化するようになった。これらの動きに対応するため、平成6年から全国の警察及び国・高速道路会社等のシステムとのオンライン接続による道路交通情報の収集を順次開始し、「民間活力の活用」という政府の基本方針に基づき、広く道路交通情報を普及させるため民間事業者への提供を実施した。
  平成8年に、一般財団法人道路交通情報通信システムセンターへのオンラインによる情報提供を開始した。平成11年には、民間事業者が道路交通情報をより利用しやすい汎用性の高いオンラインシステムを開発し、「Jシステム」として運用を開始し、カーナビゲーションやスマートフォンなど多様な情報通信機器等を用いた、きめの細かい情報提供を支える役割を果たしてきた。
  平成19年に、VICS符号情報化による全国道府県土木部情報の提供を開始し、工事情報や災害情報の提供を強化した。また、平成22年には音声合成による電話自動応答サービスを開始し、情報の精度向上と提供機会の拡充に努めてきた。
  平成26年に、災害時情報提供サービスの試行運用を開始し、令和2年より本格運用へ移行して大規模災害発生エリアにおける詳細・迅速な規制情報等の提供に加え、通行実績情報や迂回路情報等、提供情報の拡充を図ってきた。

2.JARTIC を取り巻く環境の変化

(1) 情報通信技術の高度化

  情報通信技術は急速に進展し、通信の高速化・大容量化は一段と進むことが予想される。自動運転技術の進展は各自動車メーカー等の競争により一段と加速している。また、専用通信機が新規に販売される車の多くに搭載されるなどコネクテッドカーが急速に普及することが予想される。さらに、ビッグデータを活用する技術の急速な進展により、大量の走行車両のプローブ情報をリアルタイムに収集・分析し、精度の高い道路交通情報を生成できる技術の高度化が求められてきている。

(2) 社会的なニーズの変化

  デジタル庁に設置されたデジタル社会推進会議幹事会(議長:デジタル監)において、デジタルを活用した交通社会の未来を描いた「デジタルを活用した交通社会の未来2022」が策定された。これにより、「自動運転・運転支援」、「道路空間」、「モビリティサービス・MaaS」などの新たなカテゴリーで、国民一人一人の視点から課題を解決する取り組みが行われる。
  また、情報通信技術の高度化を踏まえ、オープンデータや民の情報と官の情報の融合などによる精緻で正確、即時性の高い情報を多様なメディアを通じて求めるニーズは、今後一層高まることが予想される。

(3) 2025年を節目とした社会構造の変化

  少子高齢化による労働力人口の減少が進む中、2年後の2025年には、いわゆる「団塊の世代」が後期高齢者となり、超高齢社会を迎え、社会構造や体制が大きな分岐点に差し掛かり、雇用、医療、福祉など様々な分野に影響を与えることが予想される。その結果、労働力不足が今後さらに深刻なものになり、優秀な人材の確保、離職防止、さらなる生産性の向上が喫緊の課題となる。

3. 中期事業計画

(1)道路交通情報の収集、集約一元化及び提供

  • 全国の警察及び国・道府県・高速道路株式会社等の道路管理者(以下「管理者」という。)のもとにJARTICの職員を配置し、道路交通情報を収集、集約一元化し、ラジオ・テレビ放送、インターネット及びカーナビゲーション等により正確、迅速に、かつ、わかりやすく提供する。
  • 管理者のシステムが災害やシステム障害等により停止した場合に、職員が収集し、JARTICのシステムに入力した情報を活用して、VICS符号化し道路交通情報の継続的な提供を図る。
  • オープンデータ化の一環として、管理者の保有する情報を継続して提供する。
  • 渋滞予測情報及び道路交通に関する各種行事について、新聞、雑誌、ホームページ及びラジオ・テレビ放送により広報・啓発活動を行う。

(2)災害時の情報収集・提供

  • 地震、暴風、豪雨、豪雪等の大規模災害時等においては、機動的かつ広域的な支援及びバックアップ体制を構築し、被災地等における情報の収集、提供体制を強化して、正確、迅速、詳細な情報の収集、提供に努める。また、被災地に役立つ道路交通情報を積極的に提供する。

(3)大規模イベントに向けた取組

  • 大規模イベント開催時における開催地周辺の交通流の整序化、物流対策や住民生活への影響最小化のために行われる交通需要マネジメント(TDM)、交通システムマネジメント(TSM)を開催者との連携の下、積極的に支援する。
  • 特に、2025年に開催される「大阪関西万国博覧会」については、万国博覧会協会、大阪府警察等との連携を密にし、本部と大阪事務所等の各事務所が一体となって積極的に支援する。

(4)道路交通情報システム等の開発、整備、運用

  • 第4次道路交通情報システムについて、引き続き確実な運用に努める。また、第5次道路交通情報システムについて、システム開発、整備及び運用・保守を行う。
  • WEBによる道路交通情報提供システムについて、確実な運用に努める。特に災害時情報提供サービス時の通行実績情報提供の在り方について、利用者の視点に立った検討を進める。

(5)道路交通情報に関連する事業への支援

①Jシステム等による道路交通情報の提供

  • Jシステム並びに道路画像及び道路気象情報の利用拡大を引き続き進めるとともに、民間事業者による情報提供サービスの展開に資するための支援を行う。
  • 予測交通情報の作成に資する過去の道路交通情報を引き続き提供する。

②民間事業者のニーズへの対応等

  • よりリアルタイム性が高く広範で正確な道路交通情報を実現するために、道路利用者の情報利用の実態を確認し、民間事業者のニーズと課題を明確にしながら、新たな情報提供を検討する。
  • 自動運転システムに対する情報提供について、民間事業者のニーズへの適切な対応をするために、関係機関や学識経験者等と連携しながら、情報の要件や精度、情報提供方法等を検討する。
  • Jシステムの利用に当たっては、道路交通の安全と円滑化を図るために必要最低限の道路交通情報の取扱ルールを定めている。当該ルールについて、道路交通情報の利用を促進する観点から、デジタルデータを活用する技術の進化や情報通信技術の進展などの社会情勢を踏まえた見直しを検討する。

③渋滞統計システムの提供

  • 過去の道路交通情報を蓄積した統計情報を再現・表示する「渋滞統計システム」については、引き続き利用拡大を図る。また、民間事業者等のニーズや需要動向を踏まえながら、新たな情報及び新たな機能を継続的に検討し、実現する。

(6)道路交通情報の収集及び提供の処理方法、その他の調査及び研究

  • 国等が推進するデジタルトランスフォーメーション(DX)により業務効率を高め、道路利用者の安全と利便の増進に寄与する観点から、道路交通情報に関する基本的ニーズやその変化の動向及び近時のICT(情報通信技術)を活用した新たな提供手法・活用手法等の調査及び研究を行う。また、道路交通情報の提供方法については、利用者の利便に資するためデジタル技術を用いるなど、各種技術の向上を図る。

(7)新たな情報ニーズへの対応

  • 自動運転車両やコネクテッドカーの普及に伴い、これまでの道路交通情報より精緻かつ詳細で即時性の高い情報の提供が求められている。そのため、提供情報の位置を示す基盤(リンク体系)の見直し、コネクテッドカー等から発信されるプローブ情報を利用した提供情報の拡張や提供内容の多様化等について、官民一体となった新たな枠組みの構築に積極的に関与する。
  • プローブ情報等精緻かつ大量のデータを迅速に処理する場合に求められる道路交通情報システム等の機能、性能、構成等について検討する。

(8)人材育成、職員のやりがいの向上

①体制・職員教育の向上・強化

  • JARTICの業務に必要な能力・専門性を向上させるため、また、さらなる生産性の向上を図るため、人材育成を計画的に行い、各種の研修・講習会等を実施・受講し、JARTICの組織力向上と職員間のノウハウの承継を図る。
  • 人事評価を通じて、職員の能力及び実績を適正かつ厳格に評価し、個々の職員の勤務成績を処遇に反映させ、職員の能力発揮や意欲向上に努める。
  • 人員の適正な配置により業務運営の効率化を図る。

②職場環境の改善など時代に対応したワークスタイルの実現

  • 職員一人一人が働きやすい職場づくりを目指し、育児・介護等の両立のための支援、女性活躍の推進、テレワーク等職員の多様で柔軟な働き方の推進などに積極的に取り組むことで、組織力向上・強化に努める。

(9)健全な法人運営に資する倫理意識、コンプライアンスの向上

  • 公益法人として関係法令を遵守しつつ、中期事業計画において取り組むべき事項を確実に実施するとともに、コンプライアンスの徹底、必要な体制の整備・見直しを行うなど内部統制が有効に機能するよう努める。
  • JARTICの業務運営に関する透明性の確保を図り、JARTICが行う業務についての説明責任を果たすため、ホームページ、パンフレット等を活用し積極的な情報公開を行う。

(10)持続可能な財務基盤の確保

  • 着実な業務の遂行により事業目的を達成し、情報収集提供事業に関わる者等との信頼関係を構築することで、JARTICの運営に必要な費用の確保に努める。
  • 道路利用者等への道路交通情報の提供がさらに充実するよう、管理者への業務提案を強化することなどにより、新たな事業の検討を積極的に行っていく。また、民間事業者がデジタルデータを活用して行う情報提供事業等をさらに展開していくことを強力に推進する。
  • 費用節減に向けては、業務全体の効率化を図るとともに、固定経費の精査に取り組むことにより、適宜、財務内容の見直しを行う。

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